Story 04
独立~両親から受け取ったもの~
独立してみてわかったこと
保険営業の仕事を通して多くの方とお会いする中で、保険以外のご相談を受けることや、人生の悩みをお聴きするようなことも増えていました。
また私自身も保険に限らず人生全般において、もっと広く深く人と関わるような仕事をしたいという想いが膨らみ、コーチングを学びました。そんな折、勤務していた保険会社が別の保険会社に買収され様々なことが変化する中で、独立することを決断しました。
独立後、1年ほどして、現在の夫と、共同経営という形で法人化したのですが、独立してみると、会社員だった頃はどれだけ会社に守られていたのかということを実感しました。
名刺もメールアドレスも、自分たちで用意しなければならないし、コピー機一つとっても、会社員時代に何のありがたみも感じることなく使っていたような様々な事務機器は、立ち上げたばかりのスタートアップ企業にはとても手が届きませんでした。
さらに、本当にやりたいことをカタチにして、収益を生みだすことがいかに難しいか、ということも実感しました。
仕事とは
その人らしさの自己表現の一つ
その大変さを実感した時に、22歳で中華料理店の商売を始めて独立し、長く商売を続けてきた両親のことを、心から尊敬しました。
子どもの頃から、両親に対してはどちらかというと(苦しめられた)という想いが強かったのですが、私が両親から受け取っていた大切なものに気付いたのです。
子どもの頃、店が忙しい時に皿洗いなどを手伝っていると、お客様が「ありがとう!ごちそうさま!美味しかった!」と言いながら、お金を払ってくれる姿を何度も目にしました。
そこには、本来のお金の役割が、そのまま見えました。
そして、両親が高齢になり身体の衰えから店を閉じた時、常連のお客様たちが花束や手紙を手に来店してくれたのです。それが、どんなに有り難いことか!
さらに「身体が言うことを聞くなら、本当はもっと続けたかった」そう言えるほど好きな仕事で、お金を生み出し続けたことが、どんなに素晴らしいことか!
研究熱心で職人気質の父が美味しい料理をつくり、明るく愛想が良く、接客が好きな母が店を切り盛りする。好きな仕事をしていた二人を見ていると、仕事というものは、その人らしさの自己表現の一つなのだと自然と思えたのです。
Key Message 04
ファイナンシャル・コンサルティングの際に、女性たちから一番多く寄せられるご相談内容は、老後資金に関することです。
結婚している、していないに関わらず、平均寿命が男性より長く、また何歳まで生きるかわからない、つまりいくらあれば足りるのか、正確に計算することが難しい老後資金は、人生の三大資金の中でも、他の住宅資金や教育資金に比べて準備が難しいと言えます。
だからこそ、基本的なマネーリテラシーを身につけ、老齢年金についても最低限必要な知識をもつこと、時間をかけて個人年金等で準備すること、NISAやiDeCoなどの制度も活用して資産運用をすることは、もちろん大事です。
しかし同時に、本来の自分らしさを活かして、やりがいと生きがいをもって出来る仕事、一生涯続けたいと思える仕事を持つことも、とても大事なことだと思います。やりがいと生きがいをもつ人は、そうでない人よりも、死亡リスクや心血管疾患リスクが下がるというデータもあり、それはすなわち、健康寿命を延ばすことに繋がります。つまり経済効果もあることなのです。
また多くの女性が願う、自分らしくイキイキと生きることにも繋がります。
本来の自分を生きた時、自然と生みだされる仕事、それが人に喜ばれ、お金が生みだされ、そのお金がまた自分の人生を支え、創っていく道具として世の中に循環していく、その循環が、温かい想いと共に人と人を繋ぎ、巡っていくことは、とても豊かなことだと思うのです。